人工呼吸をしてください

 10月のある夜。「中国道上りインター付近で交通事故発生」との通報で救急隊が出場した。

 現場は乗用車が大型トラックに追突され、運転していた男性(45歳)が右足に軽い怪我をしていた。

  「よし、これなら大丈夫だ。」

 と救急車にその男性を収容、○○市内の病院に向かった。だがこの男性、これからが変わっていた。

  「意識がなくなりそうなんで首筋をもんでくれ。」   「後頭部を叩いてくれ。」

 とか、もう面倒なこと。あげくの果てには

  「息が止まりそうなんで人工呼吸をしてください。口でしてください。」 ときた。

  これには、さすがの隊長も大弱り。(冗談じゃない)と、その必要のないことを説明するのにも一苦労。

  そばでニヤニヤしていたA隊員がそっと耳打ちした。

  「隊長!ニンニクを食べたからダメだって言ってやったらどうです?」

  「バカ!それでもいいって言ったらどうするんだ。お前やるか?」

 すかさずA隊員。  「私、そんな趣味ありません。」

     

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