私のメモ尻ませんか

 さわやかな秋空のもと行なわれたある町内会の運動会。

 会長になったばかりのAさん、開会の挨拶を目前に控え何か気分が落ち着かない。

 「ただ今から開催いたします。」のアナウンスのあと、いよいよ台上へとあがる事となった。

 「みなさん、おはようございます。」 と、元気よく第1声。

 しかし、次の瞬間Aさんの顔が青ざめた。

 挨拶のメモをと、左胸のポケットに手をやったはいいが、そのメモがない。 「しまった!」

 と慌てて右胸のポケットに手をやってみたが、やはり無い。

 ひょっとしてと、ズボンの左右のポケットもゴソゴソ。やはり無いのである。

 会場も少しざわめいてきた。 困り果てたAさん。マイクに近づき 「えー、本日は絶好の・・・」

 とありふれた挨拶で切り抜けた。

 ところがである。ふっと一息、一礼をして台を降りようと背を向けた瞬間、会場は爆笑の渦。

 なんと、振り向いたAさんのズボンの尻ポケットに少し大きめの白いメモ紙が光り輝いていたのである。

 

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